Ouma - Cell Artist -

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社会を癒し社会から癒される関係を模索しています

人気マンガ「宇宙兄弟」から生まれたALSという難病の治療研究を支援する基金「せりか基金」。 「宇宙兄弟」に出てくるお医者さんの伊東せりかさんは、お父さんがALSで亡くなっています。彼女の宇宙での研究はALSの治療薬の開発に関係するものなんですね。 物語が現実の医療に貢献しているというのがとても好きで、2020年1月から毎月3265(みじんこ)円を支援しています。もともとアートを通じて医療に直接的な貢献をしたかったこともあり、毎月同額の作品を2点販売しながら、医療とアートの関係について考えつづけてきました。
2020年7月から作品というよりは、もうちょっとALSに絡めたプロジェクトを考え、プロジェクトプランとして販売しています。ご購入いただいた場合には、プランのスケッチと概要を手書きした企画書をお送りします。

企画を購入して応援できる「みじんこショップ」はこちら。

「社会を癒し、社会から癒される関係(社会治療)」のために、アートがどう貢献できるのか。鑑賞した人の自主性に任せるよりはもっと能動的に病気を日常に感じながら社会と共に癒しあう関係を模索しています。
このページでは探求経過をアート企画として公開しています。

感覚をいただく食事会~食べるオノマトペ

感覚をいただく食事会~食べるオノマトペ

企画書サイズ:20×20cm,インク 紙, 2020

ALSの特徴として、思考や五感はそのまま、というのがあります。 感覚はあるけど、症状が進むと「飲み込む」というのができなくなります。 ALSの人たちと一緒に「食事を楽しむ」ことを考えた時、「匂いだけで味わう食事会」ができたらいいかもしれないと考えたのがこの企画のきっかけです。 匂いを変えると味まで変わって感じるという研究があり、氷だけを食べていても、イチゴの匂いがするとイチゴ味のかき氷に感じ、メロンの匂いがすると同じ氷がメロン味に感じちゃうっていうのがあるそうなんです。

匂いだけの食事会だと、宗教の違いや持病で食べられないものがある人も関係なく味わえるんですよね。なので匂いだけの食事会だと、ALSだけでなく、いろんな条件の人が一緒に楽しめそうです。しかも、おなかいっぱいにならないので、たくさん食べられます。 高級料理の写真を見せて、その匂いを味わうようなちゃんとしたコースメニューでもいいんですが、アート作品のイメージを「新奇オノマトペ」に転換し、それをさらに匂いに当てはめた「食べるオノマトペ」という食事会を企画したら楽しいんじゃないかと思っています。

視覚としてのアート作品(抽象的な作品がよい) 嗅覚としての匂い 聴覚としてオノマトペを朗読

NLPという心理学だと、感覚はV(Visual / 視覚)、A(Auditory / 聴覚)、K(Kinestic / 体感覚)の3つに分けて考えます。
この3つをそれぞれ新奇性のあるもので刺激するとどうなるか、という感覚を刺激する食事会で、コースが終わった後、みんなで「感想を話し合う」時間を持ちます。 この企画で一番大事なポイントはこの「最後にみんなで話し合う」時間で、肉の味とかかき氷味のようなものではなく、みんなが同じ感想をもつか分からない体験で正解がない感覚体験をしたほうが、コミュニケーションが円滑になるんじゃないかなと思うんですね。

アートの素晴らしいところは、この新奇性と正解がない部分だと思うんですね。 みんなが初めての体験だから「ふつうはこうだよね」っていう常識のプレッシャーがないのです。でも、「感覚」をテーマにしているから、他の人がどう感じたのか知りたい気持ちも生まれるんじゃないかなと。 私はこうでした、あなたはどうだったとみんなで話して「感覚」を楽しむのがこの「感覚をいただく食事会~食べるオノマトペ」です。本当に感覚を味わっている時間は、匂いを嗅いでいる時ではなく、最後にみんなで「どう感じたかを共有している時」という感じです。

メニューもこんな感じで↓ちゃんと用意します。
アミューズ:春の香りを詰めたオノマトペ、昨日の青を添えて
前菜:猫が届けてきたオノマトペ、弾ける風のソース
リアルフレンチとかなら、たくさん食べられる感じで20品目くらい用意してもよさそうですが、感覚の食事会の場合には、一つのオノマトペ料理にじっくり向き合う時間があったほうがいいかなーと思うので、ちょっと時間は長めがいいですね。全体として1時間~1時間半で食事、30分~1時間で感想を言い合う、みたいな時間配分を考えています。

星を見るように視線で会話する

星を見るように視線で会話する

企画書サイズ:20×20cm,インク 紙, 2020

「星を見るように視線で会話する」では、みんながリアルあるいは仮想空間の中で寝転がって空を見上げます。自分の視線に反応して、見ている空に線を描くというものです。線の太さやかすれかた、どのくらいの速度で消えていくかなどは事前に設定ができます。
最初に決めた自分の「線」を自分のアイデンティティーとして線を描いていく。他の人の線が重なりながら、空に一枚の会話の星空ができあがるというものです。 15分くらいを目安にリセットし、終わった後は自分たちの会話をデジタルデータとして持ち帰れます。自分たちの会話に、自分でタイトルを入れて(参加者によって同じ回でも違うタイトルがつく)シェアもできます。 ALSでは目を動かすことはかなり症状が進行してもできるようで、モニターで視線を読み取ることで会話する方法が取られることもあります。あとは、脳波を読み取る研究なんかもなされているみたいですね。 「言葉」っていうのは、知識を伴うものなので、言葉が拙いとそれだけで知性が劣っているとみられることもあります。聴覚障がいがあって話し方が拙いとか、ALSのように言葉がうまくしゃべれない時、また母国語じゃない国で拙い英語を話そうとしたときにも生じます。 うまく話せないことは、そのまま知のレベルを表しているわけではないのですが、人が誰かを知ろうとする時に、他に分かりやすい判断材料がないんじゃないかなと思います。 オンラインゲームとかもそうなんですが、いろんな世代の見知らぬ人たちと匿名で出会った時、一度の関係性に過ぎないこともあって、言葉が暴力をふるうことがあります。 もしも、コミュニケーションが「言葉」でなかったら、激しく視線をぶつけられることは「暴力的」に感じるのか。それともある種の「美」として捉えるのか。 星空全体を見上げながら、どんな線が描かれていくのか。それに自分はどう関わっていくのか。 視線というコミュニケーション手段によって描かれる作品を参加者と一緒に創り上げます。

木の下で休む

木の下で休む

企画書サイズ:20×20cm,インク 紙, 2020

ALSは身体は徐々に動かなくなりますが、思考は明晰のままなんですよね。 ALS患者さんから聞き取りして「生きること」をテーマにして思いつく言葉をいっぱいもらいます。 車いすの横から生えた木から、切り抜かれた言葉が葉っぱのように頭上を覆っていて、その文字の影が地面に落ちるイメージです。

・車いすには実際のALS患者さんに座ってもらうか
・どなたかから車いすをお借りし、誰でも座れるようにするか

人々は地面に寝転がりながら、文字の影を身体に浴びます。 言葉を身体にまとうというのは、概念を身体に取り込むのに似ています。 誰かが発した言葉ではなく、言葉の裏側に発した人の存在を感じることで、言葉から感じ取れる意味の量が増すと思っています。
コロナ時代だとリアル体験として行うのは難しいかもしれませんが、VR想定だったら世界中の人と同時接続で楽しめるかもしれませんね。 (VRだったら、木の上に存在する文字もリアルタイムで増殖+地面に落ちて欲しいです)

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